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2月15日のまにら新聞から

さらなる国内雇用創出を イラクのホテル火事

[ 717字|2016.2.15|社会 (society)|新聞論調 ]

 フィリピン人海外就労者(OFW)の女性13人が死亡したイラクでのホテル火災は、家族を支えるために国を離れた出稼ぎ労働者の絶望的な現実を示している。犠牲者全てが一家の大黒柱であったのだろう。高給を求めて慣れない土地で孤独に耐え、イラクのような紛争地でも働く勇気ある人々だ。

 外務省によると2015年4月現在、88人のOFWが世界各国で死刑判決を受けたという。性的暴行を受けたり、犯罪に巻き込まれるOFWも多い。

 世界的な原油価格下落が要因となり、中東諸国を中心とした多数のOFWが職を失う危険に直面している。雇用創出の必要性は一段と高まっている。

 出稼ぎ労働の推進は、国内の経済停滞で余った労働者を「輸出」するため、マルコス政権下の1970年代に始まった。今ではOFW1千万人による送金総額は月間20億ドルともいわれ、比経済の成長にとって欠かせない役割を担っている。

 しかしながら、出稼ぎ労働推進政策の社会的コストを考慮しなければならない。勤務地の物理的な危険性だけでなく、優秀な人材は高給を求めて海外に移住してしまう。医療、科学、教育など専門知識を要する職種でも人材が空洞化してしまう。OFWの子どもは薬物依存や心理的な疾患にかかりやすいとの指摘もある。

 「現代の英雄」とも称されるOFWの存在は、図らずも親族やコミュニティーの「依存体質」を形成している現実がある。出世頭からの送金を頼りに豪華な暮らしをすることに慣れてしまう。出稼ぎ労働には、身の危険だけでなくさまざまな社会的なリスクがある。それでも国民は、慢性的に失業者があふれている状態に直面し、出稼ぎ労働を選択してしまうのだ。(11日・インクワイアラー)

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