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8月3日のまにら新聞から

比らしさとは 悪習慣の見直し

[ 724字|2015.8.3|社会 (society)|新聞論調 ]

 マニラ空港第3ターミナルの建設工事中、2006年の開業目前に屋根の一部が落下する事故があった。その時、あるテレビ局のアナウンサーは「フィリピンならではですね」と皮肉ったコメントをしていた。13年、ビナイ一族が副大統領から下院議員まで、多くのポストを独占した時も「比ならでは」と国民は冷笑した。

 結婚式やワークショップが1時間遅れで始まると、皆、頭をかきながら腕時計を見て「フィリピンタイムですね」と笑い、乱暴な運転をする運転手を見ては「比だなあ」とつぶやく。しかし、これらは本当に「比ならでは」であり、「比らしさ」なのだろうか。良くないと分かっていることを「らしさ」と言い換えているに過ぎないのではないか。

 ナイジェリアにも「ナイジェリア・タイム」が存在し、インドネシア、オーストラリア、英国にも同じような言い方が存在するという。汚職国家や世襲政治、さらに空港の屋根の落下事故も、世界のどこかで発生している。時間を守れず、汚職がはびこり、点検が行き届かないといったことは、必ずしも「比ならでは」ではないようだ。

 比国民の誰もが、多くの島々と美しい海、豊かな自然を誇りに思っている。各地には違った伝統が受け継がれ、スペインや米国、中国に影響を受けた食文化や宗教や祭りは、紛れもなく素晴らしい「比ならでは」であり、「らしさ」である。

 時間や法律、約束を守れない人や政治家を、比人の負の典型例として当てはめてしまい、低品質で保守点検が行き届かない状態を「比らしさ」として見過ごすのではなく、改善していく姿勢が必要ではないか。そうでなければ汚職だらけの政治、規則や時間を守れない比人であり続けることになる。(7月30日・インクワイアラー)

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