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5月11日のまにら新聞から

ハロハロ

[ 626字|2015.5.11|社会 (society)|ハロハロ ]

 アフガニスタン戦争に2006年から6年間かかわった30代の元米兵のインタビューを米テレビで見た。アフガン上空を飛行する無人機(ドローン)を遠隔操作し、タリバンを攻撃していた。1万マイル離れた米国の基地から、地球の反対側でミサイルを発射するシフトを淡々とこなしたという。一度に13人殺害したこともあったが「米兵の命を守るためであり、後悔はない」と語った。

 相前後して首相官邸の屋上に小型無人機(ドローン)が着陸する事件が起きた。放射性物質セシウムを含む砂が見つかり、反原発の組織ではないかと思っていた。しかし数日後、男が出頭、警察の調べに「一度きりの人生、目立つことをしたかった」と本音をもらしたとの報道があった。人命を奪っても業務と割り切る元米兵。ドローンでおもちゃ遊びをする40歳の日本人。同じドローンでも、このコントラストはなんだろうと思った。

 一方は、現代の最新兵器の非情さであり、他方は官邸政治や社会を揺るがしたが、どこか間が抜けている。米国民の多くが当然視してしまっているドローン攻撃。日本では規制しようにも対処に困るようなドローン遊び。文化や社会の発展度合いの違いと割り切るのは簡単だが、ともにどこか危うさがのぞく。米国の冷酷な物質主義。日本のナイーブな情緒主義。昔から言われてはいるが、変われない。不透明な国際情勢下で日米同盟の重要性は言うまでもなく重要だが、似て非なる両国のギャップには埋めがたいものがある。(実)

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