不正疑惑先送りするな 首都圏鉄道事故
首都圏鉄道(MRT)3号線の事故多発を受け、乗客は車内では柱やつり革にしっかりつかまるよう助言されている。自動電車停止装置が原因不明の誤作動を起こし、電車が急停車する事故が2件相次ぎ、乗客に負傷者が出た。
17日午前、南行き車線の電車が首都圏ケソン市のサントーラン駅で急停車し、乗客1人が負傷した。約1時間後、同様の事故が首都圏マカティ市のマガリャネス駅付近で発生し、2人が負傷した。MRT側は、老朽化した線路によって電車の揺れが激しくなり、その結果、自動停止装置が誤作動したと説明した。
最近多発する電車事故は、昨年夏にビタンコル前首都圏鉄道公社総裁への何らかの処罰を決定するよう求めた司法省や国家捜査局(NBI)の提案を、アキノ大統領がいまだに実施していないという事実を思い出させる。
ビタンコル前総裁は、自身の親戚が経営する建設会社にMRT3号線の改修工事を不正に発注した疑いが浮上したため、総裁職を辞任した。行政監察院は即座に前総裁を告発する動きを見せたが、国民の関心は、司法省やNBIの提案に大統領府がどう反応するかに寄せられた。現政権は「真っ直ぐな道」という理念を掲げており、不正や汚職撲滅を訴えている。しかし結果的に、前総裁の不正疑惑問題の解決は先送りされた。
問題の先送りは、高価なわりにまったくメンテナンスが行き届かないMRTの現状につながり、乗客の安全が脅かされる事態に陥った。
アキノ大統領は事故や不正を起こした当事者たちの説明責任を追及することをちゅうちょしてはいけない。メンテナンス態勢の改善は最も急を要する課題だ。でなければ電車の急停車よりもさらに深刻な事故が発生することは避けられないだろう。(21日・スター)