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9月15日のまにら新聞から

1年後も続く悲劇 市街地占拠事件

[ 694字|2014.9.15|社会 (society)|新聞論調 ]

 モロ民族解放戦線(MNLF)のミスアリ初代議長派がミンダナオ地方サンボアンガ市街地を占拠してから一年がたった。占拠事件発生後、初代議長派の構成員はサンボアンガ市役所にMNLF旗を掲揚し、フィリピンからの独立を宣言する計画だった。

 ミスアリ初代議長は、モロ・イスラム解放戦線(MILF)との和平交渉を進めるアキノ政権に反発し、自身が政府に対抗する政治的影響力を保持していると示すため、構成員をサンボアンガ市街に送り込んだ。政府は平和的解決を模索したが、MNLF側は拒否し、政府は武力行使に踏み切り、戦闘は一層激しさを増した。

 約20日間にわたった事件の代償は大きかった。民間人12人を含む約250人が死亡、10万人以上の市民が家屋を失った。

 しかし、事件が収束した後もサンボアンガ市には悲劇が待っていた。政府が「美しいサンボアンガの再建」を誓ったのはもう1年前。1万人以上が避難所での生活を強いられている同市は、依然、人道的な危機に直面している。

 避難所周辺の治安は悪化しスラム化している。テントがいまだに立ち並び、トイレの数も不足している。給水施設の前には長蛇の列ができ、衛生状態も悪化する一方だ。肺炎や赤痢で事件後に死亡した住民の数は168人に達している。社会の不安は避難所内にも忍び寄っている。避難所内での売春行為の報告もある。犯罪増加に対する懸念は深まるばかりだ。

 国連はサンボアンガ市復興にはさらなる支援が不可欠として、加盟各国に協力を呼び掛けている。

 サンボアンガ市の惨状は、人道的危機に対する比政府の無力さをあらわに映し出している。(9日・タイムズ)

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