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7月28日のまにら新聞から

ピンチはチャンス マニラのトラック規制

[ 734字|2014.7.28|社会 (society)|新聞論調 ]

 首都圏マニラ市のエストラダ市長=元大統領=が、トラック規制を始めて半年が経過しようとしている。規制の効果は大きく、交通渋滞は大幅に緩和された。排ガスによる大気汚染も、トラックの車列が規制時間外になるのを待つ他自治体との境界付近に移った。

 市民生活に大きな恩恵をもたらした規制だったが、他方では「経済危機」を招いている。コンテナの取扱量が3分の1に減ったため、首都圏近郊州にある工場では原材料不足に陥った。貿易量減やコスト上昇で食品などが値上がりし、「映画俳優出身の政治家、終身刑判決を受けた元大統領に、国家経済を人質に取る権利があるのか」との悲鳴も聞こえる。

 アキノ現政権は当初、トラック規制を「自治体レベルの問題」ととらえ、規制緩和という小手先の対策を市長に求め続けた。その結果、日本など大手海運会社がマニラ港利用をボイコットする事態となった。現政権に求められているのは、目先の規制緩和ではなく、長期的対策だ。その答えは、首都圏から100キロあまりしか離れていないスービック、バタンガス両港の有効活用にある。両港のコンテナ処理能力はマニラ港を大きく上回る年間計90万基で、近隣地には工場が多数進出する経済特区が点在している。しかし、現在、両港の取扱量は処理能力の数パーセントにとどまり、このままでは両港と道路網整備に投じられた1300億ペソ近い公金が無駄になってしまう。

 海運の拠点が両港に移れば、海運会社や倉庫群も首都圏から両港周辺に移転するだろう。そうなれば、首都圏の交通事情は根本から改善され、ルソン地方に物流の2大拠点が生まれることにもなる。「ピンチの後のチャンス」を生かすため、現政権の決断が待たれる。(21日・スター、ハリウス・ボンドク氏)

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