事故対策の課題
今年も、自然災害とともに悲劇的な交通事故が相次いだ。先日、高架式高速道路スカイウエーで起きた路線バスの落下事故では、少なくとも乗客18人が死亡し、運行会社の責任追及と政府による安全対策強化を求める世論が沸き起こった。
世界では年間130万人を超える人命が交通事故によって失われ、専門家らはマラリアより致命的な公衆衛生上の問題と位置付けている。フィリピンでも心臓病や白血病、がんに続く死因の第4位となっている。事故件数は年率14%前後の勢いで増え続け、2020年の事故死亡者は30万人に達すると予想される。
首都圏開発局(MMDA)によると、12年に首都圏で起きた死亡事故の犠牲者は412人で、内訳は運転者188人、歩行者177人、同乗者47人。主な事故原因は、運転ミス、故障、道路の劣悪さの三つに加え、薬物使用による速度の出し過ぎ、車体の整備不良が、原因の9割強を占めているようだ。
国連は11〜20年を「交通安全のための行動の10年」と宣言し、加盟各国に事故死傷者の減少に努めるよう呼び掛けている。これを受け、運輸通信省も「20年までの事故件数半減」という目標を掲げたわけだが、目標達成のためには少なくとも三つの課題を解決しなければならない。
一つ目は、車体の安全性確認。摩耗したタイヤやブレーキ故障が引き起こす事故は多く、実効性を伴った車検制度が必要だ。運転者に道路状況や制限速度などの情報を伝える標識の少なさ、夜間や悪天候時にそれらが見えにくくなることも問題だ。三つ目の課題は運転免許制度。学科、技能試験に合格できない人が多い他国とは異なり、さまざまな裏道のある比では「視覚障害者ですら簡単に免許を取れる」と言われているのだ。(26日・スタンダードトゥデー、ダニロ・スアレス氏)