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7月29日のまにら新聞から

無駄な試み

[ 716字|2013.7.29|社会 (society)|新聞論調 ]

解決できない補助金問題

 就任後4回目となったアキノ大統領の施政方針演説で、触れられなかった問題がある。首都圏パシッグ市の貿易会社が架空の民間団体を通じ、優先開発補助金(通称・ポークバレル)総額約100億ペソを詐取した疑惑だ。再び声を大にして言わなければならない。補助金は汚職への入口だと。

 もちろん、学校建設や道路整備など補助金を効果的に支出した例はいくらでもある。しかし、よく考えてみると、上院議員は年間2億ペソ、6年間の任期で総額12億ペソを、下院議員は年間7千万ペソ、3年間の任期で総額2億1千万ペソをそれぞれ支給されるのだ。

 国会議員全員が、民主主義の実現に向けて公金を投入することはできない。金銭的な問題が最大の理由である。各候補者は選挙運動の成功に何百万ペソという大金が必要になる。この投資金をどう回収するのか。補助金を使う以外にないのだ。

 政治に関心の高い国民であれば、国会議員が公共事業で仲介手数料を受け取っているという実態は聞いたことがあるはずだ。

 2014年政府予算案の中には優先開発補助金用に総額270億ペソが割り当てられた。もちろん、これは全予算の1%程度に過ぎない。

 大統領府は、補助金使用に関する基準の厳格化に取り組んでいる。例えば、補助金による事業実施団体を社会開発福祉省が調査するなどだ。

 ソリマン社会開発福祉長官は「我々の役割が民間団体の設立許可にまで拡大できるのか否か、現在検討している」と説明する。我々は、この発言に勇気づけられるかもしれないが、優先開発補助金という制度の抜け穴をすべてふさぐ試みは無駄に終わるだろう。構造全体が漏れるように設計されているのだから。(26日・インクワイアラー)

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