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6月24日のまにら新聞から

ハロハロ

[ 697字|2013.6.24|社会 (society)|ハロハロ ]

 昨年の今ごろ、本欄でフィリピンの少数言語チャバカノ語を取り上げ、その話し手と遭遇するのは簡単ではなく「私のチャバカノ語探しは続く」と結んだ。あれから1年。実は、首都圏でチャバカノ語を母語とする3人のフィリピン人に出会った。1人はカラオケで働く女性、2人は男性のタクシー運転手。いずれも、ミンダナオ地方西部のサンボアンガ市出身である。この街と周辺では国内で唯一、スペイン語を基盤とするクレオール語(混成語)のチャバカノ語がいまなお、幅を利かす。

 とはいえ、この地域でチャバカノ語を話す人はせいぜい60万人程度。チャバカノ語の流行歌を口ずさんだカラオケの女性は「首都圏のカラオケで、この言葉を話す女性は、恐らくわたしだけ」と言っていた。私にチャバカノ語が通じると知ったときの、タクシー運転手の反応が面白かった。乗ったとき、メーターを倒すのを渋り、ぶっきらぼうな返事に終始していた態度が一変し「シー、セニョール」(はい、お客さん)を連発するようになった。私はスペイン語、彼はチャバカノ語で、会話がしばし弾んだ。

 物の本によると、チャバカノ語には六つほどの方言があって、なかでも、スペイン語に最も近いのがサンボアンガ方言だとされる。だから、私はタクシー運転手との意思疎通に不自由しなかったのだ。首都圏に近いカビテ方言のひな形を読んだら、タガログ語(フィリピン語)の影響が色濃くて、解釈に難儀した。スペイン語で、チャバカノ(chabacano)は「下卑た」「俗っぽい」を意味する。フィリピン人を見下すスペイン人の視線が露骨だが、私はむしろ、チャバカノ語に混成語の豊かさを見る。(竹)

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