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11月19日のまにら新聞から

命が安すぎる

[ 697字|2012.11.19|社会 (society)|新聞論調 ]

モデル殺害事件

 命がこの国では安い。中級乗用車のほぼ半額の代金で、政敵の命を奪うために、政治家が殺し屋を雇う。報道関係者や共産党関係者の未解決殺人事件の容疑者もしばしば、雇われた殺し屋である。

 一般市民も被害者になりかねない。友人とのちょっとしたいさかいが原因で、誘拐され、性的暴行を受けた後に殺される。このほど起きた、モデル兼テレビタレントのジュリー・ロデラスさんの強姦殺人事件は、ほんのささいなことが犯行理由だった。

 逮捕された容疑者の1人によると、主犯格の男性の交際相手である女性モデルが、男性に殺害を頼んだという。ロデラスさんが自分の出産に関するうわさを流布したことに怒ったのだという。

 首都圏警察ケソン市本部の捜査員は、主犯格とほかの共謀犯を、飲食店の領収書を手がかりに見つけ出し、逮捕した。称賛に値する捜査だった。未解決の殺人事件の捜査にも、この成果を生かしてほしい。

 殺人グループが全国で横行している原因を探ると、殺人犯の野放しと、甘すぎる銃器規制法の存在に行き着く。

 ルソン地方ラグナ州カランバ市でこのほど、国家警察の警官隊が殺人組織のメンバーとみられる6人と銃撃戦を展開し、全員を射殺した。

 裁判で有罪判決が確定しなくても、犯罪容疑者をこの世から永遠に消し去るべきだ、と主張するフィリピン人もいる。

 しかし、家族を殺された人々は、殺人犯を雇った黒幕を暴き、犯人を法の下で裁ばいて、罪を償わせることを望んでいる。それが正義を貫き、遺族の悲劇を終わらせる唯一の道である。それは、犯罪が割に合わないことを知らしめ、殺人グループの拡散抑止にもつながる。(13日・スター)

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