ハロハロ
新聞には「オプエド」欄と呼ばれるページがある。大概、新聞のなかほどに、見開きであり、社説と並んでお抱えのコラムニストが折々のテーマについて、論考を読者に提供する。この国に来て、わたしが一番気に入っているコラムはインクワイアラー紙に週1、2回掲載される「過去を振り返る」で、必ず読む。筆者はアテネオ・デ・マニラ大学で教壇に立つアンベス・R・オカンポ氏で、英語、タガログ語はもちろん、スペイン語の文献も駆使して、読者を魅力的な歴史の世界にいざなう。
◇
日本文化、日本とフィリピン交流史への造詣も深く、日本絡みの興味深いコラムを次々と書いている。この7日の「神秘的なルソン壺」は、茶道の比日関係史がテーマ。オカンポ氏のおじが大変な日本びいきだったそうで、自宅の裏庭に本格的な茶室を造り、小さいころ、茶会を初体験した。9歳の時に、日本を初めて訪問し、後に出るはずの和菓子を楽しみに、格式ばった茶会の席でじっと我慢していたエピソードも書いている。そして、フィリピンで客死した高山右近(1552〜1615)に触れながら、16世紀の日本で茶人が「ルソン壺」を珍重した史実を紹介しているのだ。
◇
8月31日の「日本起源のフィリピン“ハロハロ”」も面白い。このコラムの題名にもなっているハロハロが戦前、日本人が持ち込んだかき氷が具だくさんのハロハロに進化した事実は周知であろう。オカンポ氏によると、シンガポール、マレーシア、ベトナムなど他の東南アジア諸国にもハロハロがあり、本家争いまで起きているそうな。とにかく、オカンポ氏が「絶品」と賞賛する首都圏マカティ市内のレストラン「ミルキー・ウエー」のハロハロを食べに行かなきゃ。(竹)