経済破滅への道
現政権下の成長減速
2011年の国内総生産(GDP)成長率は3・7%で政府目標を下回り、アキノ現政権における経済不振を露呈させた。主な理由はインフラ事業への支出が不十分だったためだ。政府によると、不正や汚職防止に向け、大規模事業の契約を慎重に見直す必要があったというのが表向きの説明だが、言い訳にすぎない。
政府は同年第4四半期に総額720億ペソの景気刺激策を実施すると表明した。しかし、アロヨ前大統領やコロナ最高裁長官といった政敵の追い落としに躍起となり、何も実現しなかった。
前大統領は同年11月半ば、出国監視を一時差し止める最高裁命令が出たにもかかわらずマニラ空港で出国審査を通過できず、結局、逮捕状を執行された。翌12月には下院与党勢がコロナ長官に対する弾劾手続きを強行した。気付けば景気刺激策は口先だけだった。
国家経済開発統計調整委員会のヴィロラ委員長は、インフラ事業への支出不足と漁業の不振が経済低迷の主要因だと説明した。10年の成長率が7・6%だった結果を考慮すると、11年の数字は恥辱に値する。
特に経済開発事業に関して言えば虚無感すら覚える。海外の投資家からは不信感が依然高まっており、官民連携(PPP)事業は一行に進んでいない。前政権下でも投資の優先課題と位置付けられたマニラ空港第3ターミナルに至っては、賠償金問題など解決にほど遠い状況だ。外国直接投資額は現政権発足以降で減少傾向にある。
比の現在の経済状況は、緩い下り坂をローギアで進んでいるようなものだ。明確な方向も定まらぬままに。
現政権による政敵排除は相変わらず続いている。この国は経済と政治の破滅への道を着実に進んでいる。(1月31日・トリビューン)