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11月29日のまにら新聞から

愚民政治とメディア

[ 739字|2010.11.29|社会 (society)|新聞論調 ]

大量虐殺事件から

 マギンダナオ州の大量虐殺事件の裁判を迅速に進める要求が、メディアグループや政府から出ている。しかし比の裁判制度では被告への審理を長期にわたり行う。これを変えない限り、迅速な裁判はできない。

 このため、メディア側からは審理を簡略化し特別法廷開廷の要求が出ている。特に今回の事件の場合、被告約200人に加え、検察側と弁護側の証人がそれぞれ数百人おり、裁判の長期化が予想される。

 しかし、特別法廷に加え裁判の生中継や、アンパトゥアン一族の弁護団の解任まで求められても、民主主義のルールに基づかない限り、無理な相談である。彼らの望みは、ただ同一族らの迅速な有罪判決。彼らは真意ではないと否定するが、それが実態だ。これでは、血を求める群衆と変わらない。

 なぜ彼らはこのように注目度の高い裁判だけ口を挟むのか。何年もかけて争われている無名の裁判はどうなるのか。裁判制度は、注目度の高い特別な審理のためにあるのではない。彼らが生中継を求めるのは、かつて反エストラダのテレビ局が上院を弾劾報道したように、反アンパトゥアン一族の評論家が偏った情報を提供したいだけだ。

 政府は被告を有罪にするだけの強力な証拠を握り、有罪判決を勝ち取ることができるならば、なぜ原告側のみに利益をもたらす特別な計らいをしようとするのだろうか。原告側には被告を有罪判決に追い込む十分な証拠がないのではないのではなかろうか。他の民主主義国家では、大衆の注目を引いて被告に有罪判決を下す手法は、無効な審理と見なされる。しかし、比では大統領も露骨に法廷へ影響力の行使を図り、テレビの生中継まで要求する。

 衆愚政治の手法を受け入れるなら、我々は民主主義を学んでこなかったことになる。(24日・トリビューン)

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