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11月29日のまにら新聞から

防衛条約を再考せよ

[ 735字|2010.11.29|政治 (politics)|新聞論調 ]

VFA見直し論議で

 エンリレ上院議長が言う。「訪問米軍地位協定(VFA)の見直しを議論する前に、まず比米相互防衛条約(MDT)の継続を望むかどうか決めることだ」。正しい指摘である。

 VFAは米軍兵士の比訪問をどう扱うかについて規定している。VFAでは、米軍は有事の際に比軍と共同して作戦にあたるのに備え比軍を訓練できると規定している。MDTでは、比米両軍は一方が攻撃を受けた場合、相互に相手防衛にあたると定められている。

 マルコスとコラソン・アキノ両政権で国防長官だった同議長は、比の軍事力は隣国と比較して相対的に弱く、MDTは必要と確信している。

 現在、比へ明確な敵意を表わす隣国は存在しないかもしれない。しかし比が紛争地域を抱えていることは否定できない。特に南シナ海の南沙(比名カラヤアン)諸島の領土紛争がそうだ。しかしソ連崩壊後、唯一の超大国となった米国の傘の下で保護を模索し続けることに、十分な理由があるだろうか。

 長年にわたりVFAとMDTを批判してきたアロヨ上院議員は、比が領有権を主張する同諸島の一部を中国軍が占領した際、米国は比支援になんら努力をしなかったと指摘した。さらに「軍事的危機に際し、米国が支援した例はあっただろうか」と問うた。.

 残念なことに同上院議員の指摘は的を得ていない。MDTの相互防衛規定では、両国の「メトロポリタン」で攻撃を受けた場合にこの規定が作動する。この場合「メトロポリタン」とは、都市を意味するのではなく、両国それぞれの領土というのが、共通の解釈である。南沙紛争の際、米国は同諸島を比領土の一部と解釈せず、MDTの対象外にした。MDTの継続について議論する際は、同諸島の領土問題を考慮に入れる必要がある。(25日・マラヤ)

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