台風一過
電力問題問い直す好機
私がこの記事を送信しようとした時、台風バシャンの影響で首都圏が停電になった。インターネットがつながる場所を探そうと外出すると、強風で樹木が倒れた光景を見て、喜ぶのは休校になる子供たちだけだろうと思った。国家災害対策本部の緊急会議でアキノ大統領は、台風の進路を的確に予報できなかった比気象庁を非難した。
台風の本質をまず理解することが大切だ。台風は大きな空気のかたまりで、旋回しながら陸と海の上を進む。進路は上陸地点の地形と周辺の気象状況によって変化する。同庁は数学上の仮説から予報を出し、6時間ごとに情報を更新していた。正確な台風予報を発表し、それが大型であればなおさら、その襲来に備えることが大切だ。
だが今回、仮に同庁が進路を的中させたとして、政府は十分な対策が取れたのだろうか。予報更新を待たずに政府は迅速に対応すべきだった。同庁は豊富な情報を、台風上陸地域にもウェブサイトにも公開していたのだ。
マニラ電力が即座に停電を復旧できたのは、首都圏とその周辺地域のわずか5分の1にすぎなかった。停電が復旧したとしても、電力の急速な需要増大により供給量不足が起きており、住民たちは電力使用を控えねばならない。
それでも燃料油の値上がりなどを理由に、電力料金が引き上げられ、そのつけが消費者に押し付けられることから、新政権に対して電力産業改革法廃止を求める動きが高まる可能性がある。当時上院議員だったアキノ大統領は、同法に反対した1人。まさに台風一過。この機をとらえて同法の意義と電力の安定供給をあらためて問い直す必要がある。(16日・タイムズ、ジオバン・タパン氏)