ハロハロ
米ニューシネマの代表作「イージーライダー」主演・監督のデニス・ホッパーが前立腺がんで死んだ。遅行性のこのがん、早期発見なら助かるはず。米国は健康保健制度がぜい弱で、比と同様、病気になると金がかかる。つい、発見が遅れるケースが多いよう。日本では天皇陛下が前立腺がん罹病を公表されて以来、一般の認識が広がり、腫瘍マーカーのPSA(前立腺特異抗原)は周知となった。
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ここからは自分の話となる。昨年夏、人間ドックでPSAを調べたら54だった。もともと前立腺肥大で注意はしていた。頻尿などの症状は皆無だが、この指数だけは50歳代から基準値の4をオーバー。4年前に一度、内視鏡検査を受けたが、がんではなかった。だからたかをくくっていたのだが、50を超えたとなると少し心配になり、今年2月、再検査した。こんどははっきり前立腺がんを宣告された。
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治療は放射線療法が妥当と担当医。7週間、毎日照射して組織壊滅を図る。秋からの本格治療に先行して、抗男性ホルモン薬服用と女性ホルモン注射をしている。がんを縮小させるためだ。この処置が始まると、欲望が消滅した。人生は「さっぱり」したものになった。「それは寂しいね」と悪友。女友達は「もういいんじゃない?」。昔、総入れ歯にした先輩が「歯痛がなくなり、快調」と負け惜しみを言っていたが、70代半ばともなると、煩悩から解放された人生も悪くない。(紀)