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5月17日のまにら新聞から

大地主と貧困層出身者

[ 714字|2010.5.17|社会 (society)|新聞論調 ]

正副大統領選

 第2次大戦後、フィリピンに米国式民主主義が復活して以来、最も長時間にわたる統一選が行われた。投票時間はかかったものの、集計時間は最も少なく、投票終了後48時間以内には正副大統領や上院議員、地方首長ら当選者の大勢が判明した。

 大統領選の非公式集計結果では5月12日の夕方時点(開票率88・55%)で、アキノ上院議員が得票率41・8%でトップを走り、次いでエストラダ前大統領が26・5%で2位につけ、ビリヤール上院議員は15・12%にとどまった。

 ビリヤール議員は30億ペソと言われる豊富な資金を投入し、当初は選挙戦を優位に進めたが、首都圏の幹線道路整備事業に関する沿線所有地の売却疑惑や所有企業に関する違法株取引、選挙広告に関する虚偽内容疑惑などで逆風にさらされた。さらに、アキノ候補の精神疾患問題に関する偽の診断書を流出させたことが暴露され、高齢の母親に釈明記者会見させたことにも批判が高まった。

 有権者はあまりにも聡明な候補や起業家精神あふれた金持ち政治家に嫌気がさしているようだ。アロヨ大統領は確かに有能な経済専門家で比に9年間という最長期間にわたる経済成長をもたらした。しかし、彼女は国民に人気がなく、汚職にまみれた人物とのイメージを与えられた。

 副大統領選ではマカティ市政を率いたビナイ氏が元投資銀行幹部でケソン市クバオ地区の大地主であるアラネタ財閥の御曹子、ロハス氏をリードしている。これは有権者がアキノ氏に一つのメッセージを送っていると見ることができる。つまり、「我々は副大統領には別の大地主ではなく、貧しい少年時代を送った人物を送り込むよ」という意味である。(13日・タイムズ、トニー・ロペス氏)

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