コロナ判事は拒否を
最高裁長官任命問題
予想通り、アロヨ大統領が新最高裁長官を任命した。6月30日に就任する次期大統領に任命させず闘いののろしを上げた。次期大統領への政権移譲をスムーズに行うと約束した翌日の任命であり、また、前例にない大統領経験者から下院選に立候補し勝利宣言した直後のことだった。この行為は、今後予想される自身に対する略奪罪での訴追や権力乱用罪から免責されるための布石を打っているとの疑念を強めた。
国内法では最高裁長官職が空席になった場合には判事の中で最高齢の判事が臨時に就任することが決められており、大統領が主張するような長官職の空白は生まれない。また、選挙結果が流動的になった場合に対応するため長官と判事がそろうことが必要だと説明したが、大統領選はビリヤール候補の敗北宣言とアキノ候補の大量リードで平和裏に決着しそうだ。
むしろ今ささやかれているのは、正副大統領の公式集計と当選宣言の一翼を担う下院議会がアロヨ大統領によって掌握されているため、共謀して何か政治の混乱状況を作り出すのではないか、という懸念である。
いずれにせよ大統領が最高裁長官に選んだコロナ判事の資格が問題なのではなく、その駆け込み任命の方法が問題なのである。元最高裁判事の1人は次期大統領が駆け込み任命の無効を定めた大統領令を出せば解決できる問題だとも述べている。
一方、エストラダ前大統領はコロナ判事が以前、アロヨ政権の中枢として首席補佐官や最高裁長官スポークスマンを務めたことを問題視している。また、同判事の妻はアロヨ大統領によりさまざまな政府公社の総裁に次々と任命されてきたという。コロナ判事が自ら大統領任命を拒否するよう求める声が高まっている。(14日・スター、ヤリウス・ボンドック氏)