制度乱用を許すな
政党リスト制候補者問題
次期下院選政党リスト制でアロヨ大統領の長男、フアンミゲル下院議員が警備員団体政党の候補者名簿に記載されていた問題で、大統領府のサルード報道次官は「法律には違反していない。なぜ大統領一族だけが取りざたされるのか」と反論した。同名簿にルソン地方パンパンガ州ルバオ町の町長も含まれていたことを強調したいのだろう。
同町長は、違法賭博フエテン王といわれるピネダ氏の息子。政党リスト制を利用して裏口から下院議員になろうという魂胆だ。
このひ弱な共和国の大統領は、法規を尊重するだけでなく、現行法の抜け道やグレーゾーンを取り締まる模範的指導者でなければならない。しかし実際は正反対である。
交通渋滞がひどい首都圏の幹線道を車で走ると、その理由が分かるだろう。交通標識や信号がまるで存在しないかのように、バスや乗用車の運転手は我先にと追い越そうとする。この結果、渋滞は悪化する。運転手が先を急ごうとするのは法律違反ではないが、混乱を招く。これを生活のもっと大きな枠組みに当てはめると、「アジアののろま」と国際的な雑誌で批判されたような国家的破滅状態に陥ることになる。
国家の指導者という模範たるべき存在が恥知らずなご都合主義者でしかないのであれば、政党リスト制という制度をこれ以上悪化させないよう中央選管に対策を委ねるしかない。社会的弱者の声を反映させる下院委員会が複数存在しているにもかかわらず、納税者は、なぜ政党リスト制議員の活動に膨大な金がつぎ込まれているのかと疑問に感じるだろう。
中央選管は政党リスト制の候補者に関する明確な指針を近く発表すると説明した。不適切な候補者を失格にし、これ以上、政党リスト制の乱用を許すべきでない。 (25日・スター)