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3月22日のまにら新聞から

司法界の自殺

[ 734字|2010.3.22|社会 (society)|新聞論調 ]

大統領利する最高裁判決

 大いに悲しいことだが、最高裁判所が「自らの手で命を絶った」と言わざるを得ない。最高裁大法廷はこのほど、プノ同長官の5月17日退官に伴う後任問題に関し、アロヨ大統領の任命権を認める「言語道断」とも言える判決を下した。憲法7条15項には、「大統領選前の政治任命禁止期間は60日」と明記されているにもかかわらず、「アロヨ・チルドレン」とされるほとんどの最高裁判事たちは、最高裁の信頼を揺るがす判決を下してしまった。これは紛れもなく、「司法界の自殺行為」にほかならない。

 アロヨ大統領に任命された最高裁判事たちが、共和国憲法に背いてまでも、権力に白旗を掲げた結果だ。憲法7条15項のどこを、どのように解釈すれば、今回のような判決が導き出されるのか。最高裁は国民の信頼を裏切り、自ら墓穴を掘ってしまった。

 同判決に対し、与党系の下院議員は「憲法の解釈を明確にした画期的判決」と称賛してみせたが、実は同種の判決が1998年11月9日にも出されていた。この国では独立性を旨とすべき司法界が、政治家という権力者の軍門に下る例がしばしば見られる。

 今回の判決はこの国から「希望」を奪い去ってしまった。政治上の条件次第で、憲法の解釈が権力者を利するようにねじ曲げられてしまう。中でも、退官間近のプノ長官の姿勢には「法の番人」という誇りのかけらも見られず、落胆の極みだ。

 「ごり押しの政治任命は選挙結果に影響を及ぼす元凶となる」。98年判決の際、最高裁判事の一人が表明したこの言葉が現実になるかもしれない。それにもかかわらず、最高裁は危険が迫ることを全く無視して、判決を出した。判決は「画期的」どころではなく、司法界に大きな穴を開けてしまった。(18日・インクワイアラー)

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