道徳的不利益か
コンドーム問題
カブラル厚生長官がエイズ防止に向けコンドームを無料で配付するなど避妊具の普及に乗り出したこと対し、カトリック教会の重鎮たちが批判の声を高めている。また、コンドームの広告に出演する俳優たちに対して警告を発する大司教も現れた。著名な司教や大司教たちが同長官の辞任を求めるまで事態はエスカレートしている。
私達はカトリック教会のコンドームに対する立場をすでに知っているし、カブラル長官がリプロダクティブ・ヘルス法に賛同する立場から行政手腕を発揮していることも知っている。しかし、私達は、現在、直面している深刻なエイズ問題について、また、コンドームの効果に関する研究結果を直視しようではないか。
比厚生省が毎月発表しているエイズ統計報告書によると、05年から09年にかけて、新規エイズ感染者数は210人から835人へと4倍に増えている。また、今年1月の1カ月間の新規感染者数だけで143人に達しており、昨年同月の65人から倍増している。この比における急増傾向は海外で感染者数が全体的に減少傾向にあるのと比べると対照的だ。しかも、厚生省の統計ではこれまでに確認されたエイズ感染者総数を4567人としているが、世界保健機関などの統計では8300人ほどと推定されている。
コンドームの有効性については国際機関などの研究で十分に立証されている。世界保健機関によると、タイでは90年代前半に政府がセックス産業従事者たちのコンドーム使用促進を図り、使用率が94年の24%まで向上したほか性病罹患者数も10分の1まで激減している。コンドーム使用については社会、経済、保健分野における利点が道徳的不利益を上回るか否か。議論が必要だ。(13日・インクワイアラー、ソリタ・モンソッド氏)