「負け惜しみ」絶えず
比ビジネス環境
外国人投資家はフィリピンにおけるビジネス環境の「不測の事態」に長年不平を漏らしてきた。規則は道半ばで変更され、企業が処罰を受ける。契約締結から数年も経過すれば、契約書はトイレットペーパーの紙切れ同然となり、裁判所や各省庁トップの交代とともに、契約自体が破棄・無効とされてしまう。つまり、コネだけの世界なのだ。
外国人投資家だけが被害者ではない。コメ20万トンの輸入許可をめぐる入札で起きた事例を紹介したい。食糧庁(NFA)は入札条件を記載した広告を19日に公示した。だがその一方、ウェブサイト上で広告に不記載だった整理券の取得を義務付けると加えた。このため、ビサヤ地方セブ市のNFA事務所には一部のコメ輸入業者が徹夜で列をなした。
22日に公開された入札結果では、落札業者は首都圏の10社とセブ都市圏の7社。落札業者の数社は、輸入許可の転売目的で応札したという。
落札や入札機会を逃したコメ輸入業者側は突然の規則変更の不当性を主張したが、NFAは「負け惜しみ」と切り捨てた。書類選考を先着順に行うため整理券システムを導入したと弁明、書類選の考通過者も基本合意書を提出しなければならず、輸入許可は現在も正式に承認されていないと主張する。
整理券導入によって、多くのコメ輸入業者が競争入札へに参加する機会さえも奪われた。しかも整理券の上位が誰に配布されたのかも公開されず、業者にとっては納得のいかない状態が続く。フィリピンの公共事業入札の不透明性を示す典型的な例である。
不公正な競争への敗北であれば、誰だって「負け惜しみ」を漏らす。(25日・スター)