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2月22日のまにら新聞から

新聞論調

[ 708字|2010.2.22|社会 (society)|新聞論調 ]

お祭り騒ぎ−賭けと娯楽の統一選

 「お祭り騒ぎの始まりだ。街にサーカスがやって来た」。選挙運動解禁の9日、各紙1面にはこんな内容の見出しが躍った。 

 サーカスは古代ローマ時代に行われた2輪馬車競争が起源とされる。円形競技場は馬車競争のほか、剣闘士や動物同士の闘い、運動競技場にも利用された。周辺は露天商でにぎわい、売春婦やギャンブラーの姿も見られた。 

 近代のサーカスに比の大統領選がある。政治的売春行為によって選挙資金の獲得に奔走し、野党から与党へと容易にくら替えする候補者たち。そして有望な政治家に賭ける有権者。

 ローマ時代のサーカスは乱暴者だらけだった。大統領選の候補者たちも政敵をけ落とすためなら何でもやる。

 もちろん悪い面ばかりではない。サーカスの舞台である円形競技場ではその後、皇帝が新法や新税を発表し、民衆が国に対する不平や改善点などを話し合う場所に使われた。

 次期大統領選も、この国が抱える問題について公開討論会が行われるなど前向きな取り組みも実施されている。しかし、選挙運動は依然として華やかなムードや陽気な音楽に包まれている。歌や踊りで盛り上げる芸能人が選挙運動に参加し、候補者は有権者を盛り上げる。

 18世紀から続く米国のサーカスは、綱渡りなどの曲芸や道化師が観客を楽しませた。比の統一選でも、空中ブランコのように政党をくら替えし、やり玉に挙げられないよう器用にロープの上を歩くなど米国式のサーカスが繰り広げられている。当選まで有権者を喜ばせる道化師もいる。

 サーカスや娯楽と混同され続けてきた比の選挙が、真剣に取り組むべき国家行事として定着する日は来ないだろう。   (16日・インクワイアラー)

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