経済統計の偽装
GDP修正問題
二〇〇九年第一・四半期の国内総生産(GDP)実質成長率が〇・四%に減速し、前期比の伸び率がマイナス二・三%に落ち込んだ。前期比の伸び率の落ち込み幅は過去二十年で最大。現政権高官は「景気後退に傾いている」と発言したが、景気後退は半期前からとの見方が正確だ。
景気後退の定義は二期連続のマイナス成長。ネリ前国家経済開発庁長官が統計を手にして景気後退入りの回避を説明する会見を思い出す。あの統計にもねつ造の疑いが付きまとう。
国家経済開発庁調整委員会(NSCB)は、〇六年の統計までさかのぼって誤りを認め、経済統計の信ぴょう性を揺るがした。多くの専門家は長年、現政権下での四半期ごとの経済統計の正確性に疑問を呈してきた。
NSCBは過去三年のGDP実質成長率を大幅に修正した。四半期段階での修正ならともかく、三年前のGDP成長率の修正は許容できない。〇六年のGDP成長率は五・四%から五・三%。過去三十年間で歴史的な成長を記録した〇七年は七・二%から七・一%。〇八年も四・六%から三・八%とした。特に、〇八年第四・四半期のGDP成長率は四・五%から二・九%と大幅に手を加えた。
「修正」が不正確である可能性もある。ねつ造常態化のツケで、統計学者がバラ色の数字をはじき出せない事態に追い込まれたのかもしれない。
NSCBは四半期ごとの統計で、誤りに気付いていたはず。ねつ造統計を公表し続け、アロヨ大統領がこの統計を基に「目標の達成」を自賛する。NSCBは現政権寄りの政府機関に成り下がった。与党国会議員や財界人は、現政権派のエコノミストを持ち上げ、経済成長を「演出」してきたのだ。(30日・トリビューン)