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5月11日のまにら新聞から

無責任さが露呈

[ 678字|2009.5.11|社会 (society)|新聞論調 ]

パッキャオ選手の帰国

 大型台風エモンも新型インフルエンザの脅威もパッキャオ選手の帰国を止めることはできなかった。政界入りを狙う同選手の後援者であるアティエンサ環境天然資源長官は、帰国延期を勧告したドゥケ厚生長官に反発した。ドゥケ長官は、新型インフルエンザ対策の一環で、帰国の延期や自宅待機を求め、大統領府も電話で同様の勧告を行ったが、パッキャオ選手には聞き入られなかった。

 しかし、ドゥケ長官の勧告は軽率なものではない。何も凱旋(がいせん)に毎回同行するアティエンサ長官からパッキャオ選手を奪う意図があったわけでもない。それは、世界保健機関(WHO)が、感染者続出地域から移動する者に自宅待機を勧告したことを受けた措置だ。WHOも米疫病対策センター(CDC)も、「人から人への感染が確認されている」として、同選手が滞在していたロサンゼルスを危険度の高い地域に指定している。

 ドゥケ長官の勧告は、パッキャオ選手だけに向けられたものではなく、同行者全員を対象としている。しかし、彼は長官の勧告を無視するばかりか、帰国直後にキアポ教会を訪れ、イベントへの参加でファンと接触するだろう。

 台風の最中では、インフルエンザの感染拡大も容易になるはず。感染のリスクが高まるほどに、パッキャオ選手やその同行者の楽しみが増すのだろう。またしても、彼の無責任さと国民を保護するための規制や勧告を超越しようとの意図が露呈した。

 これは、彼がVIP政治家としての姿勢を学んだことの証拠だ。国会議員になる最初の試みは「KO負け」だったが、政界入りもそう遠くはないだろう。(8日・スター)

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