誤発砲の危険性
未熟な射撃技術
国家警察によると、全警官約十二万五千人の九〇%が拳銃を適切かつ正確に使用できないという。法執行機関である国家警察がこのような悲惨な状態に陥っている事態を笑い飛ばすことはできない。
正確な位置に撃てない警官は、腕の立つ犯罪集団と撃ち合えば負けてしまう。真っすぐ撃てなければ、誘拐犯と被害者の両方を射殺する結果に終わる。最悪の場合には無実の市民を殺害してしまうことにもなりかねない。
比人海外就労者(OFW)の比人男性が帰宅中、娘と一緒に複数の警官に射殺されるという事件があった。事件は首都圏南部で起き、警官とギャング集団との撃ち合いに巻き込まれて命を落とした。
もし拳銃を適切かつ正確に使っていれば、OFWを射殺した警官は捜査の対象にはされず、解任の可能性も避けられたはずだ。
警官の射撃技術が未熟な理由の大半は、拳銃に対する恐怖心や警官の愚かさとかいったことではなく、「実弾の有無」の問題だ。警官の初任給は一般の最低賃金とほぼ同等で、報告によると貧困ラインよりも低水準な生活を強いられている警官家族もいるという。
このため、実弾を持っている警官のみが射撃技術を磨くことができる。しかし、警官一人に支給される実弾は必要最小限というのが現状で、上達のためには自腹を切るしかない。
政治家らの護衛を務める警官は通常、定期的に射撃の腕前を磨くことができる者に限られる。また私兵団と呼ばれるメンバーの射撃技術も専ら政治的目的で利用されている。
しかし大半の警官は、政府が設備や技術向上を目的に予算を出さない限り、自らの所得の範囲内でやり繰りするしかない。(4月27日・スター)