公約守れぬ大統領
悪化する労働環境
現政権下における雇用状況は何も進展していない。アロヨ大統領は年間百万人分の雇用創出を公約してきたが、今年のメーデーを迎えるにあたって何の改善もみられない。
国内の失業率は七・七%、二百八十万人に上る。失業者数の正確な総数はどうあれ、海外就労でしかまともな仕事にありつけないのがこの国の実情だ。
香港、シンガポール、そして同じ途上国のベトナムなどで比国民が単純労働を強いられている姿には慰めの言葉もない。
世界同時不況がもたらす混乱は新たな挑戦状を突き付けている。この国の経済が依存している比人海外就労者(OFW)が解雇され、雇用状況がまひしている比に帰国せざるを得ないためだ。
動機はどうであれ、国内にとどまる人々の希望は、まともな仕事で給料を得るよりは、なんとしても仕事を続けることにある。タクシー運転手は、一日中外を走り回るだけで、高い燃料費のために少ない稼ぎで帰宅することもしばしば。コールセンターの増加ですら、外資系企業の投資に限度があるため雇用創出の増加は期待できない。
経済成長率が七・二%に達した二〇〇七年、大半の国民はそれを実感できないどころか、貧困度の悪化を訴えた。
大統領は悪化する労働状況に対応できなかった。地場産業の活性化のみが状況を改善できるのだが、政府は国民が海外へ出て働くことを優先した。しかし、世界同時不況下、百万人雇用という公約は達成できなかった。
口先だけのアロヨ大統領は、二〇二〇年までに先進国の仲間入りするなどという野望を捨てるべきだ。すべては大統領の幻想にすぎない。(4月30日・トリビューン)