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4月20日のまにら新聞から

ハロハロ

[ 623字|2009.4.20|社会 (society)|ハロハロ ]

 車中の雑談で「野菜の好き嫌い」が話題になると元UP教授の友人は、フィリピン人には野菜嫌いが多いと話し出し「あれは牛が食べるものと思い込んでいるようだ」と笑った。OLがお昼時、同僚と一緒に食べるお弁当のおかずに野菜が入っていると恥ずかしい思いをすると以前、聞いたことがある。この国であまり評判のよくない野菜だが、最近の研究によると、摂取量が多い人は健康で長寿、がんの発症率は低いそうだ。

 緑豊かなフィリピンなのに、野菜の生産量はアフリカの低開発国と同程度で、菜園の広さは全耕地面積の三パーセントに過ぎない。当然、生産量は少ないが、野菜の収穫量が少ない理由の一つは、農民が化学薬品の殺虫剤などを多用したため、植物の栄養素となる微生物が死に、土壌がやせているからだという。日本も過去に経験したことがある。

 こうした農薬の弊害を解消するため比嘉照夫琉球大教授は一九八二年、化学薬品に頼らない農業用土壌活性剤として「EM」(有用微生物)の開発に成功、現在、世界五十五カ国で製造されている。この国では比嘉教授の要請を受け、在比五十年の小野博善さんが推進役となって九七年から「EM」の製造、普及に取り組み、農務省も比嘉方式による有機農法を実施している。こうした流れを英字紙「マニラ・ブリティン」は最近、六回の「EM」特集で紹介するなど、この国でも有用微生物の効用が認識され出した。さて、これが庶民の野菜嫌いに変化をもたらすかどうか。(濱)

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