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3月30日のまにら新聞から

無能力の証明

[ 701字|2009.3.30|社会 (society)|新聞論調 ]

現実無視の和平解決姿勢

 アロヨ大統領がミンダナオ和平問題に関する助言をブレア前英首相に求めるのは、同問題への対処能力が不十分なことを証明している。三十年以上も続く紛争解決のアドバイスをなぜ前英首相に求めるのか。

 ブレア氏は首相時代、ブッシュ前米大統領と共に、大量破壊兵器の「存在」を理由にイラクへの攻撃を続けた。対テロ戦争は世界を情勢不安に陥れた。

 治安問題はそっちのけで世界をテロの恐怖に陥らせ、悪びれていない様子をみると、両前首脳、アロヨ大統領の三者は「同じ穴の狢(むじな)」だ。

 各国首脳は、イスラム急進派、モロ・イスラム解放戦線(MILF)との和平締結が真の平和につながるとは考えていない。実際は、豊かな天然資源を略奪する手段でしかなく、決して「平和への手段」ではない。

 前英首相の時代に、北アイルランド和平が達成された。大統領報道官は「アロヨ大統領は、前英首相の和平経験がミンダナオ和平にも寄与すると確信している」と語る。しかし、北アイルランド和平実現に適応された方法は、フィリピン共和国からの独立を掲げるイスラム教徒には通用しない。

 複雑なのは、一つのイスラム勢力との和平締結が真の平和到来に結び付かないこと。政府は一九九六年、モロ民族解放戦線(MNLF)と和平協定を締結した。しかし、大量の武器を所有するMNLFはかつての同胞であるMILFのミンダナオ支配を望まない。過激派のアブサヤフも和平協定に関係なく活動を続けるだろう。

 憲法違反になるものをMILFに与えれば、MNLFが反政府勢力化するだろう。無能力が証明された今、アロヨ大統領に残された道は退陣のみだ。(25日・トリビューン)

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