前大統領は必ず出馬
次期大統領選
二〇一〇年五月の次期大統領選で、野党連合が候補一本化に失敗した場合、エストラダ前大統領は必ず出馬する。誕生日の四月十九日には「出馬表明」をすると確信している。
エストラダ前大統領を出馬へと突き動かすのは、「選挙による無実の立証」である。彼は今も、二〇〇一年一月の政変「エドサ2」は憲法違反であり、退陣後の不正蓄財裁判ではアロヨ現政権の意向を受けて有罪判決が出た、と考えている。
前大統領出馬を阻む第一の障害になると思われるのが、大統領再選を禁じた共和国憲法条項。しかし、周辺の法律専門家らは「(一九九八年の当選後)任期六年を全うしていないのだから、『大統領経験者』の再選を禁じた憲法条項は適用されない」と踏んでいるようだ。
立候補後の関門となるのは最高裁の判断。前大統領の再当選を阻もうとする与党陣営は当然、再出馬の違憲性を問う裁判を起こすだろうが、投票日前に審理結果が出るとは考えにくい。そして、選挙で前大統領が勝利した後に、最高裁がその失格を宣言した場合、国民は最高裁の判断を素直に受け入れるだろうか。
仮に、「当選後に失格」という事態が起こった場合、憲法に沿って副大統領選の当選者が大統領に昇格することとなる。二〇〇四年の前回副大統領選で、デカストロ現副大統領に敗れたレガルダ上院議員は、前大統領の地方遊説に常に同行しているようだが、その意図は何か。もしかしたら、前大統領の出馬と失格、自身の副大統領当選と「大統領昇格」を読んでの行動かもしれない。投票日まで残り十五カ月足らず。政局をめぐる動きはますます過熱する。(4日・スタンダードトゥデー、エミル・フラド氏)