比米は緊急協議を
米兵拘置問題
レイプ罪により一審で有罪(終身刑)判決を受けた米海兵隊員の拘置問題について、最高裁判所大法廷はこのほど、訪問米軍地位協定(VFA)の合憲性を認める一方で、同米兵の在比米大使館施設内拘置をVFA違反とする判決を下した。これにより、任期終了を間近に控えたクリスティー・ケニー米大使は問題解決へ向け、比側との緊急協議を迫られることになった。
オバマ新大統領の就任した米国は、友好国および非友好国との関係を実際の政策で明確にするよう求められている。職業外交官であるケニー大使はその政策を体現化せねばならない。
最高裁判決は、VFAを同盟関係を確認した比米相互防衛協定に基づいて結ばれたと指摘、その上でVFAが従来の米兵優遇という不平等性を排除したと評価した。しかし、今回の米兵による比人女性レイプ事件では、その趣旨とは異なり、有罪判決を下された米兵が比の司法権が及ばぬ米大使館施設内で拘置されていることをVFA違反と断定、ロムロ比外務長官に対し、米側と緊急協議するよう求めた。
ここで重要なのは、最高裁が米兵の米大使館内拘置を認めた同長官とケニー大使との合意(二〇〇六年十二月二十日)を共和国憲法違反と明言したこと。
米政府にしっぽを振り続けるアロヨ政権は、今回の最高裁判決の履行を、手段を尽くして逃れようとするだろう。ケニー大使にしても常とう手段である「時間稼ぎ」に出ることだろう。しかし、アロヨ政権は米兵拘置問題を最高裁判決に沿って解決するため、米国に毅然たる姿勢を示し、結論を出さねばならない。アロヨ政権に求められるのは、米側との緊急協議の開催だ。オバマ米政権がどう対処するのかが注目される。(13日・インクワイアラー)