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2月16日のまにら新聞から

恥さらしの旅

[ 723字|2009.2.16|社会 (society)|新聞論調 ]

大統領の無益な訪米

 アロヨ大統領とクリントン米国務長官の会談で何が協議されようと、国民に伝えられる内容はすべて大統領府による宣伝文句でしかない。会談は、ミンダナオ和平や金融危機問題を含め、「両国関係の強化で一致」などというありふれた内容だった。

 今回の訪米でアロヨ大統領は、ワシントンで開催された朝食会での写真撮影の機会を狙ってオバマ米大統領を追いかけた。しかし会談は実現せず、自身だけでなく国民に恥をかかせた。これを埋め合わせるため、国務長官との会談(本当に三十分間もやったのか)が設定された。

 忘れてはならないのが、比への投資に意欲的だったという米国の実業家たちとの会合の成果が大統領府報道官によって強調されたことだ。

 米国の巨大ビジネスは、現状では解決策がないほど金融危機の影響を受けている。比国内ですら失業者を続出させているこのご時世に、大統領府は「米国の実業家たちは比への投資を確約した」とはよく言えたものだ。

 比国内の米系企業は、ビジネスを困難にさせるこの国の汚職体質を長年非難し続けてきた。非効率な官庁手続き、密輸、汚れた司法制度など。外資系企業が比国内での投資の難しさを実感しているのなら、本国にいる社長もこれら諸問題を認識しているはずで、比への投資を確約するだろうか。

 今回の訪米は税金の無駄遣いに過ぎなかった。

 アロヨ大統領が望んだのは、スイスのダボス会議で各国首脳と肩を並べている様子を国民に示すこと。イタリアに行くべき理由は何もなかった。米訪問はオバマ大統領との会談が実現しなかったことで、恥をさらしに行ったも同然だ。アロヨ大統領自身が恥をさらすのは構わないが、国民まで巻き込まないでほしい。(10日・トリビューン)

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