電子投票の導入を
思惑うごめく次期選挙
二〇一〇年に大統領選は実施されるのだろうか。依然不透明な状態が続いている。その中、同選挙の実施有無、延期のいずれに決まるにせよ、アロヨ大統領が任期切れの一〇年以降も権力の座にしがみつこうと躍起になっているのは明白。
大統領選実施の場合、不正防止に向けた電子投票システム導入は実現するのだろうか。同システム導入も不透明なままだが、このほど上院で明らかになった事実をみると、大統領府が同導入に踏み切るとは到底思えない。何せ、〇九年政府予算案中に同導入向けの予算二百十億ペソが盛り込まれていないからだ。
今後の折衝で予算の追加計上の可能性はあるが、大統領の味方であるサンチャゴ上院議員は最近、同予算額が巨額すぎると主張、追加計上が承認される可能性はないとの考えを示した。
投開票が自動化されれば、手動方式に比べ、大規模な票操作は難しくなる。今年八月のイスラム教徒自治区(ARMM)知事選挙で同システムが初めて導入され、一定の成果を挙げた。メロ中央選管委員長は「大満足」と喜び、次期大統領選などの自動化が現実味を帯びた。にもかかわらず、サンチャゴ議員の一言で、長年の懸案である同システム導入が空中分解するかもしれない。
中央選管などは自動化経費について、タッチパネル方式のみなら三百十億ペソ、マークシート方式との併用なら百十億ペソと試算。今後三回の選挙に使用可なのを考えれば、それほど高くはない。誰もが票操作をしたいという本音を隠しながら、表面上は電子投票導入に賛成している。この際、大統領選などの公正実施に向け、一気に電子投票システム導入を図るべきだ。(8日・インクワイアラー)