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10月13日のまにら新聞から

税金の無駄遣い

[ 734字|2008.10.13|社会 (society)|新聞論調 ]

北部ルソン鉄道事業

 アロヨ政権が計画している北部ルソン鉄道事業には一体、いくらの資金が注ぎ込まれるのだろうか。最新の見積もりでは同額は九億二千百万ドルとされる。このうち一億︱一億五千万ドルが既に、事業主の中国国営公社に支払われているが、線路はいまだ、一メートルさえも出来上がっていない。

 にもかかわらず、同公社は最近、第一期工事(首都圏カロオカン市︱ブラカン州マロロス市間三十二キロ)の事業費として二億九千万ドルの追加を求めてきた。公開入札で決まった事業主でもないのに、厚かましいにもほどがある。

 同事業がどうして行き詰まっているのか。上院は政府にその理由を問いただしているが、政府は従順な最高裁の手助けを得てがんとしてそれを明らかにしていない。

 同じく中国が関係した国家ブロードバンド網構築事業の二の舞が演じられているわけだが、鉄道事業のほうがよりたちが悪い。取り決めによると、事業主選びから借款返済方法に至るまで、すべてが中国の言いなりになっているからだ。中国側に違反行為が発覚しても、比政府は自国および第三国で裁判も起こせない。しかもその裏には汚職の影が見え隠れしている。

 上院議員によると、税金で賄われるこの鉄道事業では現在、中国からの借款返済として、比側は一日当たり百万ペソを返却しているという。

 事業費にしても当初から支払いすぎとの批判が出ていた。それが今、追加支出を求められているのだ。当然のこと、事業主の変更や事業そのものの廃止を訴える声が出ている。この鉄道が完成したとしても、その時点で同鉄道は時代遅れの代物になっていることだろう。この疑惑に満ちた同事業の責任者を特定し、税金無駄遣いの説明を迫るべきだ。(7日・スター)

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