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6月16日のまにら新聞から

メディアへの問い

[ 733字|2008.6.16|社会 (society)|新聞論調 ]

テレビ局員拉致事件

 テレビ局ABS︱CBNの女性キャスターら四人がイスラム過激派、アブサヤフ幹部のサヒロン容疑者インタビューのため、スルー州を訪れた際、武装グループに拉致された。本紙はいち早く、複数の国軍情報筋から「四人はスルー州インダン町のトゥマンギス山ろくで消息を絶った」、「拉致したのはアブサヤフで身代金要求額は千万ペソ」との情報を入手。同局に確認の電話を入れたが、同局経営陣の敷いた「報道管制」のため対応を拒まれた。

 十日朝、少なくとも新聞二紙とラジオ局三局がこの拉致事件を報じた。しかし、同局が発表した声明は女性キャスターらの「行方不明」を確認しただけ。拉致を認めない一方で、「キャスターらの安全のため、報道には最大限の配慮を払ってほしい」と訴えた。

 同局に問いたい。「キャスター拉致は報ずべきニュースではないのか」、「最大限の配慮とは何か」と。また、軍・警察筋や地元自治体関係者が「アブサヤフに拉致された」と確認しているにもかかわらず、それを単に「行方不明」とねじ曲げて報じることが「最大限の配慮」なのか。

 問題は、スクープを書くか否かではなく、当局が確認済みの情報を報じるか否かだ。以前、アブサヤフが起こしたイタリア人神父誘拐は、ABS︱CBNを含む全メディアにとって報ずべき事件だった。

 神父誘拐では報道によって容疑者グループに対する国内外の圧力が高まり、無事解放につながった。今回の事件でも、報道によって女性キャスターらの命がさらなる危険にさらされるとは思えない。逆に、身代金奪取だけを狙う犯人らに「キャスターらの身の上に何かあったら、自分たちはどのような目に遭うか」と圧力をかけることになるのだ。(11日・トリビューン)

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