エゴと公共の利益
外国人商工会議所聴聞会
先日の上院聴聞会で、外国人商工会議所連合の関係者が議員らから集中砲火を浴びた。きっかけは同連合がアロヨ大統領へ送った書簡。その中で、同連合は電力産業改革法改正による発電料引き下げに懸念を表明したのだが、比政府の都合に合わせた政策変更、そして投資誘致の際に約束した優遇措置廃止に対する同種の懸念は以前から出ていた。
外国人商工会議所連合が法改正に懸念を表明した背景にも、比政府による「違約」があるようだ。一日八︱十二時間に及ぶ停電を解消するため、ラモス大統領(任期一九九二︱九八年)は発電ビジネスへの投資を募った。そして多数の独立系発電業者(IPP)が操業を始めたわけだが、この際、比政府側は優遇措置として余剰電力買い上げを保証した。
ラモス政権は当時、国内経済の成長と電力需要の増大を見越して、余剰電力問題は近い将来に解消すると踏んでいたようだ。しかし、アジア通貨危機により比経済の成長は鈍り、後には多数のIPPと余剰電力、アジア域内屈指の高い電力料金が残った。
国民が石油製品や食品価格、電気料金の高止まりに苦しんでいる中、発電事業で利益を得ている外国人投資家らをまるで悪魔のごとく非難するのはたやすい。しかし、慈善やわずかな利益のために数十億ドルを投資するような人などいないことを忘れてはならない。
上院議員の「努力」は国民やIPP関係以外の外国人投資家には歓迎されるだろう。しかし、比で数十年間も活動してきた外国人投資家に「比が嫌なら自分の国へ帰れ」「フィリピノ語を使うな」と言うようでは、外国からの投資増は期待できない。議員らは自らのエゴと公共の利益のバランスを取らねばならない。(10日・スター)