発言に責任を
農地分配問題
ミンダナオ地方ブキドノン州スミラオ町の農民らが再び首都圏にやって来て、アロヨ大統領に約束を守るよう呼び掛けている。果たして、スイスのダボスでおしゃべりや演説に明け暮れる大統領に農民の声が届くのかどうかは、カトリック司教たち次第であろう。
ダビデ長官当時の最高裁は農民の要求を認めず、農地所有者に五年以内に土地開発計画を実施するという基本条件を付けた。しかし、条件は満たされず、土地は国内大手企業、サンミゲル社の子会社に売り渡された。条件が履行されなかったのだから、土地は農地改革の対象として耕作農民に渡されるのが正義であろう。大統領の約束は、一九九六年当時の商工業用地への転用命令を無効とし、包括的農地改革事業の下に戻すという内容で、過去十年間で初めて農民らに希望を与えたのである。
開発の道徳的基盤も問題だ。違法行為の上に立った開発を続けてよいのか。サンミゲル側は土地への投資を守りながら、農民には近くの土地を所有させるという代替案を出した。確かに農民にとっては実質的に有利だといえる。しかし、包括的農地改革法に違反したままでよいのだろうか。不正義という原罪の上に立つ開発を継続してよいのだろうか。その意味で、大統領は行動や発言の道義的な責任を果たし、命令を実現すべきだ。また、カトリック司教らは大統領に助言を与えるだろう。
ブニエ報道長官は大統領命令をサンミゲル側に自ら手渡すという約束を守らず、農民の期待は雲散霧消した。司教らは今回の問題で信仰を守るだけでなく、約束を守ることが義務なのだと表明すべきであろう。(23日・インクワイアラー)