汚職 疑惑を生む土壌
悪化するビジネス環境
世界銀行が、世界百七十八カ国を対象に「ビジネスのやりやすさ」を比較した調査結果を発表した。フィリピンの順位は前年の百二十一位から百三十三位に落ち、対照的に金融改革や建設許認可の簡素化を進めたインドネシアやベトナム、インド、中国は順位を上げた。
調査によると、比でビジネスを始めるためには、許認可や手数料の支払いなど、平均十五の手続きに五十八日間を要する。これらに必要な公式、非公式な「費用」は初期投資の二六・八%を占め、事業自体を始める前段階で資本の四分の一が失われるのだ。
前年の調査結果は「平均十一の手続きに四十八日間と初期投資額の一八・七%」。インフレ率は低レベルで推移しているにもかかわらず、起業に要する諸費用だけが高騰している。
課税制度も企業活動の大きな障害となっている。例えば、国税局などへの納税回数は年平均四十七回で、手続きには同百九十五時間も要する。また、納税額は収益の五二・八%を占めており、企業活動で得られる利益の半分以上を政府が取る計算だ。
これら調査結果が示すとおり、比の規則、手続きは一向に簡素化されず、逆に複雑になっている。規則などに加えて、遅々として進まないお役所仕事、領収書の出ない「非公式な費用」が状況を悪化させている。
ブロードバンド網構築事業をめぐる受注疑惑でも、「なぜ、このようなことが起きるのか」「なぜ金をばらまかねばならないか」という根本的問題を考えなければならない。疑惑は企業家の直面する諸問題、すなわち透明性の欠如やお役所仕事、不公正な競争︱︱などを反映しているのだ。
(4日・タイムズ)