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9月10日のまにら新聞から

民族言語を守れ

[ 692字|2007.9.10|社会 (society)|新聞論調 ]

忍び寄る消滅の危機

 フィリピン全土には現在、大小合わせて百七十五︱百八十に上る言語が存在する。しかし、中には使う者の激減から消滅の危機に直面している言語も少なくない。代表例がルソン地方で使われている「アグタ語」「イフガオ語」、ミンダナオ地方の「チボリ語」などの言語。「アグタ語」(サンバレス州)の場合、若い世代が主にタガログ語を使うため、正統「アグタ語」を話せる者がいなくなり、ゆくゆくは消滅する懸念が出ている。民族学者によると、使用者数が三十万人以下に減った言語はやがて「死」を迎えるとされる。この説に従えば、比で今後生き残れるのはわずか約二十言語にとどまる。

 民族言語衰退の最大の要因はタガログ語を国語にしたこと。一九四八年時点で、同語を常時使う割合は国民全体の一九%だったが、九五年にはそれが約三〇%に増え、現在は確実にそれ以上となっている。これに対しセブ語は四八年で同二五%、九五年には約二一%に減った。セブ語だけでなくイロカノ語、ビコール語、ワライ語も同様の運命をたどり、中でもパンパンガ、パンガシナン両語は二十年後にはこの国から消滅する可能性さえある。

 その背景にあるのが、民族言語を使う親が、首都圏で勉強、就職するのを考え、子供たちに同言語よりもタガログ語習得を求めていること。そこで言語学者らが提唱しているのが①タガログ語重視教育の見直し②地元での民族言語の積極的学習③希少言語の記録保存およびその出版︱︱の三点。文化、伝統と並び言語は「自己証明」につながる重要な要素。政府はこの国の財産である「多様な言語」の保護・継承に向け、十分な対策を緊急に講じるべきだ。(7日・タイムズ)

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