見え透いたうそ
国軍民生作戦への言い訳
見え透いたうそだ。国軍が昨年十一月以降、首都圏の貧困地区で展開中の民生作戦と称する兵士駐留に関し、国軍幹部側から出た数々の弁解を考えてみたい。この民生作戦には次期上院選の与党連合候補からも慎重論が挙がるほど異常な事態だ。
国軍首都圏本部長のドロルフィノ少将はこの作戦を「新たなアプローチ」とした上で、「地域の平和と開発」を目的に将来を見据えた対策で、貧困地区で見られる「『反逆の文化』を阻止するためだ」とも説明、左派団体から挙がる選挙妨害との告発を一蹴(いっしゅう)した。
ソリアノ人権委員長は国軍から治安対策の一環として国家警察を支援するとの説明を受けた。これにはラソン国家警察副長官が治安問題は警察の職務であると反発した。
左派団体が中央選管に民生作戦を告発した際、ホンラド国軍報道官は兵士撤退命令はないと言明し、駐留理由については「国軍の公式見解を待つ」とした。その後、公式見解は国際平和維持軍への派遣準備に向けた兵士訓練のためと切り替わった。
国民の不安は、パルパラン退役少将が現職中にルソン地方中部で住民に恐怖を植え付けた共産系反政府勢力掃討に絡む民生作戦に起因する。多くの住民が突然行方不明となり、自治体事務所は国軍分遣基地と化した。
エスペロン国軍参謀総長は最近になって核心に迫る言葉を漏らした。民生作戦の狙いは貧困地区に潜伏する犯罪者や新人民軍の潜伏者を取り締まること。そして「(住民は)リスト制政党所属議員の個別訪問を嫌がっている」と続けた。本音が露呈した。国軍幹部は、現政権主導の政党政治の目的達成に向け、軍の中立性を維持すべきだ。(9日・インクワイアラー)