性差別を肯定
安倍首相発言
「国際女性の日」を祝う声が高まる中、日本の安倍晋三首相は第二次世界大戦中に日本軍がアジア諸国で何千人もの女性を事実上、性の奴隷としたことに証拠はなく、日本軍は売春婦を雇ったと発言した。
戦後生まれの安倍首相は、第二次大戦中に行われた日本軍の侵略行為をねじ曲げた改訂版歴史教科書で学んだのだろう。首相は元慰安婦の証言を「レイプ行為」を裏付ける確かな証拠ではないと判断したようだ。中国や韓国、フィリピンの多くの女性が加害者の生物標本を持っていれば、DNA鑑定でレイプ行為が実在したと証明できただろう。
安倍首相の性的奴隷に関する見方は、女性が現在抱える問題と根本的に同じである。ここ数十年間で女性の社会的地位は大きく変わった。女性は政治や財界、司法、軍など幅広い分野で存在感を増している。男性が支配していた分野での活躍も目立ち、女性が国家元首となる国々も多い。米国では女性上院議員が次期大統領選への立候補を表明した。
だが、世界では数百万人に上る女性が「二級市民」との扱いを受ける社会で暮らし、何らかの形で束縛され、教育を受ける機会を奪われ選挙権を付与されていない現状がある。女性の人身売買や強制労働、性的搾取は多くの国で深刻な問題となっている。安倍首相発言からも分かるように、男性の一部に女性の性的搾取を当然とみる向きも根強く、変革は難しい。
国際女性の日に女性の社会進出などを祝うのは結構だが、世界では多くの女性が差別や基本的人権の欠如などに苦しんでいる。解決すべき問題はまだ多い。(8日・スター)