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1月15日のまにら新聞から

なぜ今、起訴なのか

[ 678字|2007.1.15|社会 (society)|新聞論調 ]

ペレス元長官の収賄疑惑

 アロヨ大統領の初代司法長官だったペレス元司法長官が、汚職などの罪で行政監察院から起訴されることが決定した。大統領承認のこの決定は、五月の次期統一選と関係がある。政権与党は、政治不安を抱えたまま統一選に向けた政治運動を開始したくない。大統領も自身に対する致命的問題がない状態を望んでいる。

 大統領の側近は、ペレス元長官、ボランテ元農務次官の汚職疑惑が選挙運動中に野党からやり玉に挙げられると懸念していたはずだ。

 ペレス元長官の罪に対する審理が統一選までに行われれば、野党は与党候補者を非難する材料を奪われる。同元長官が起訴されたことで与党は、国民に正当性を主張でき、不利益を回避できる。

 与党が選挙議論の中でペレス元長官の疑惑問題を解決できれば、統一選で与野党は対等に戦える。野党は政権の汚職、人権侵害、物価上昇などの問題を繰り返し、与党は前大統領の略奪罪問題で野党勢を非難する。

 エストラダ前政権からアロヨ政権に移行した後、ペレス元長官の疑惑浮上で、現政権は当初の信頼性を失った。ヒメネス元下院議員の批判に対応できず、関係者や世論がペレス元長官の解任を求めて大統領に重圧をかけた。

 当時の行政監察院はペレス元長官への訴追を拒否、国民の間に疑問が残った。しかし数日前、この汚職疑惑が再浮上した。歴史的偉業の達成のために行政監察院が決断した結果なのか、それとも演技なのかは分からない。

 明確なのは、裁判が始まればこの問題は国民を混乱に陥れる。これまで証言されなかった疑惑の新事実が明るみに出るからだ。(11日・タイムズ・ジュリオス・フォートゥナ)

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