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12月18日のまにら新聞から

戦争の影と「新日本」

[ 665字|2006.12.18|社会 (society)|新聞論調 ]

安倍首相初来比

 日本の小泉純一郎前首相はメタリックシルバー色の髪の毛とエルビス・プレスリー張りの髪型で衆目を集めたが、後継者である安倍晋三首相の「切り札」はラジオ局DJの経歴を持つ昭恵夫人だ。

 歴代の首相夫人は背後で微笑を浮かべ、黙ってうなずくだけの控え目な存在であった。対照的に、四十四歳の若きファーストレディーは公の場で首相の横に立ち、その手を握りながら笑顔をきらめかせる(首相夫妻のむつまじさが東京で話題になる以前から、山崎隆一郎駐比大使夫妻がマニラで手を握っていたことをここで特記しておく)。首相を「シンチャン」と呼び、魅惑的な人柄を感じさせる昭恵夫人は、ブッシュ米大統領夫人、ブレア英首相夫人らと肩を並べるファーストレディーの一人だろう。

 先日、安倍首相が初来比した際、滞在先のホテルロビーで、われわれは手をつないで歩く首相夫妻の姿を初めて目にした。夫妻が現れるや否や、まず日本人宿泊客が拍手を始め、これに比人や韓国人、中国人客も加わってロビーは大きな拍手に包まれた。

 この出来事は、戦後生まれの首相による、新しい日本政治の到来を予感させた。また、太平洋戦争で日本に侵略された国の人々が首相に拍手を送る光景は、戦争の影に覆われてきた日本のイメージが変化しつつあることを感じさせた。

 日本政府関係者によると、日本占領下で苦難を強いられた隣国との和解は、安倍政権の掲げる重要課題の一つ。それ故、安倍首相は、東アジアサミットなど一連の会議延期により、中韓両国首脳との対話の機会を逸したことを残念がっていたという。(12日・タイムズ)

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