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12月18日のまにら新聞から

批判に耳傾けよ

[ 684字|2006.12.18|社会 (society)|新聞論調 ]

甘利経産相発言

 東南アジア諸国連合(ASEAN)首脳会議などの延期に関連し、日本の甘利明経産相が「台風の規模などを考えれば延期理由は極めて不可解。比政府の信用を失墜させたことは間違いない」と発言した。

 日本人は慎重さと機敏さで知られる。また、友好国・比に対する日本政府関係者の批判として、経産相発言はまれなほど率直な内容だ。それだけに比政府は発言に驚き、留意すべきだった。

 それにしても、会議延期の「本当の理由」は何か。比政府は「台風接近のため」と説明したが、当の台風はセブ州周辺を通らず、説得力に欠けた。英米豪三カ国が警告した「テロ計画」のためという憶測も流れた。これに対し、比当局は「そのような脅威はなかった」と否定。三カ国政府は独自ルートでテロ情報を入手したとみられるが、なぜ議長国の比に伝えなかったのか。不可解さが残る。

 比政府によると、延期された一連の首脳会議は二〇〇七年一月十︱十四日に開催予定。加盟国に寛大なASEANの首脳会議は、比政府の希望通り開かれるだろう。しかし、日中両国首脳らを交えた東アジアサミットや拡大首脳会議は別だ。「各国首脳の外交日程が半年先まで決まっていることを考えれば、(同サミットなどは)事実上中止になったというのが関係者の見方」と指摘した甘利経産相が恐らく正しいだろう。

 われわれは、根拠の希薄な理由で首脳会議を延期し、わが身を傷付けたことを率直に認めなければならない。甘利経産相発言を「個人的意見」で片付けようとしたエルミタ官房長官は、日本政府関係者が政府関連事項で個人的見解を決して口にしないことを知るべきだ。 (14日・マラヤ)

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