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12月4日のまにら新聞から

ハロハロ

[ 538字|2006.12.4|社会 (society)|ハロハロ ]

 「辺りの景色が様変わりして、まるで別なゴルフ場のようだった」︱︱。台風「ミレニオ」が九月二十八日に首都圏と南ルソンを直撃して数日後、ラグナ州にあるゴルフ場でプレーした友人が話していた。コース内の木は半数がなぎ倒されていたそうだ。南ルソン高速道沿いで枝を広げるレインツリーも無惨。この国で「アカシア」と呼ぶ大木は強風に耐えきれなかったのか太い幹や枝が折れ、無傷はごくわずかだった。

 それから二カ月。マキリン山のふもと一帯は、まだ片付けられていない街路樹や街灯の倒れたのを残すだけで、何ごともなかったように木々の葉や草が生い茂る。潮風を受けたとしか思えないように茶っぽくなった竹や椰子(ヤシ)の葉は落ちたが、その後に出てきた若い葉はどんどん伸びている。熱帯植物のおう盛な復元力に驚かされる。

 植えたのを後悔するほど拙宅の庭で背をのばしていた竹も、台風で八割がた葉を落とした。ところが、文字通り「雨後の竹の子」。今では以前に増して数多くの若竹が顔を出している。草原の彼方、タガイタイの南に位置を変えてゆっくり沈む夕陽と赤く染まる大きな空を眺めながら。「断水だ、停電だ」と大騒ぎした人間社会の慌てぶりを恥じた。 (濱)

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