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10月24日のまにら新聞から

ハロハロ

[ 516字|2005.10.24|社会 (society)|ハロハロ ]

 紅葉シーズンを迎えると、北海道の河川ではサケが一斉に遡上(そじょう)を始める。三、四年前に川を下った稚魚が太平洋を回遊、大きく育って古里に戻ってくる。九月下旬、知床半島を訪ねると、どこの河川も押し寄せるサケやマスの魚影で埋まっていた。偶然にも河口に姿を現した大きなヒグマがサケを捕獲する貴重な光景にも出くわした。

 網走に近い斜里川。河口から遡上してくるサケの大群が川幅五、六十 の水面を真っ黒に埋め尽くしている。体長約一 もあるサケは体調を海水から真水に慣らすためか、ゆっくりと上流に向かう。川幅が狭いオンネベツ川ではマスの大群が河口の浅瀬を飛び跳ね、傷だらけになって上ってくる。羅臼川では産卵して死んだ無数のサケを狙ってカラスやカモメの大群が飛び回っていた。

 今年、世界自然遺産に登録された知床半島は一躍、観光ブームになった。外国人の観光客も多く、空港やホテル、観光施設では英語のほか、韓国、中国語の案内版が目立つ。観光船がトラブルで休航したため、一周一時間の知床五湖の狭い遊歩道は、クマ除けの鈴を付けた団体客の長い列が続いた。人と自然が調和した環境保全をどう構築していくのか、今後の大きな課題と痛感した。(富)

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