真相を告白せよ
前閣僚らの「暴露」
ソリマン前社会福祉開発長官らがこのほど、現政権による「弾劾やらせ」を暴露した。会見前、記者たちはアロヨ大統領に対する過激な告発を期待した。しかし、彼らは「ダイナマイト」の代わりに「線香花火」をともしただけだった。事実は明かされず、証拠書類もなかった。「立ち聞きした」との主張だけで、すぐに政府側に反論されるような代物だった。誰が真実を語っているのか、国民には結局分からなかった。
ソリマン前長官は、大統領が、ロザノ弁護士の弾劾申し立てに同意・署名する下院議員を探すようクラウディオ大統領顧問に指示しているのを聞いたという。クラウディオ顧問は政党リスト制選出のマルコレタ議員に頼むと答えたというが、同顧問は即座に疑惑を否定。マルコレタ議員も頼まれた事実はないと反論した。
この種の泥仕合は大統領の支持者と反対者の「自己主張」を増長させるだけだ。雑音となりこそすれ、真相の解明にはつながらない。さらに、今回の暴露は時期的にみて下院法務委員会の弾劾審議に影響を与える狙いがあったことは明らかで、前長官らの信用性は大きく損なわれた。
大統領退陣を求めて七月に辞任した主要閣僚やソリマン前長官らは、「真の変化」を求めて現政権離脱を決意したという。だが、彼らの行動はより政治色を帯び、その動機には疑問符が打たれている。
前長官らは大統領の不正の証拠を握っていると主張するが、それはおそらく単に自分たちも関与していたからだろう。もし、本当に不正を暴くつもりがあるならば、彼らは保身にきゅうきゅうとせず、真相を洗いざらい告白し、後は成り行きに任せるべきだ。(8月31日・インクワイアラー)