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6月27日のまにら新聞から

かなわぬ英雄の夢

[ 687字|2005.6.27|社会 (society)|新聞論調 ]

深刻な教育問題

 新学期が始まり、公立校では教室や机の与えられていない子供を目にする。廊下に座り込み、授業内容をノートに書き記す生徒らの写真が新聞に掲載された。国内の至る所で、校庭の片隅の木陰で授業を行っているが一般的だ。

 教室の不足は教育にとって致命的問題だ。約百年前、国民的英雄のホセ・リサールは、「国の発展のカギを握るのは、革命ではなく教育だ」と説いた。リサール処刑後一世紀を経た今も、高度な教育の必要性に焦点が当てられているとは言えない。

 教育よりも政権転覆騒動に国民の関心が高まる中、リサール生誕百四十四周年記念日を迎えた。だが、小学校や高校は学力不足の卒業生をどんどん排出し、大学教育の質も向上しない。卒業生が各種資格試験に合格できない多くの大学は、政治家の圧力がなければ、政府から認可を取り消されることはない。

 汚職が教育を混迷させ、教科書作成から教師の任命まで、教育のさまざまな面に影響を与えている。公立校で不足している教科書は間違いだらけだ。その間違いに指導教員が警告を発すれば、全国書籍委員会は間違い訂正に動くどころか、その指導教員の資格や信用度を非難する。  

 大統領府は、書籍委員会の在り方を再検討すべきだ。同時に汚職や選挙不正疑惑への対応にもエネルギーを注がねばならない。

 リサールは、スペイン統治時代の教育の貧困がどれだけフィリピン人の進歩を妨げたかを知っている。マニラや西欧諸国で最高の教育を受けたリサールは、フィリピン人が達成すべき最良の見本である。国民に質の高い教育の提供を夢見てきたリサールだが、その夢はいまだかなっていない。(19日・スター)

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