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6月5日のまにら新聞から

サンラザロ競馬場

[ 1127字|2005.6.5|社会 (society)|名所探訪 ]

「世界水準」の快適空間

 首都圏の南郊約四十キロのカビテ州カルモナ町。手入れの行き届かない田舎道が突如立派な舗装道に変化すると、のどかな田園風景のかなたに赤い屋根が姿を現した。フィリピン随一の規模を誇る競馬場「サンラザロレジャーパーク」だ。

 建物を遠目に望んでからさらに十分ほど車を走らせてようやく競馬場敷地内に到着する。広大な七十七ヘクタールの土地をぜいたくに使い二〇〇三年四月一日にオープンした。

 レジャーパークを運営しているのは国営公社・マニラジョッキークラブ。比政府は一九九七年十一月、「比の競馬界を世界水準に引き上げる」ことを目的に同公社を設立した。その設立目的通り、レジャーパークの設備の豪華さには目を見張らせるものがある。

 駐車場に車を止め、観客棟に向かう。来訪者を出迎える観客棟の入口周辺は高級ホテルの玄関口かと見まがう外観で、植え込まれた草木は丁寧に手入れされており、ヤシの木が風にそよいでいた。

 警備員のチェックを受け建物の中に入ると天井の高い開放的な空間が広がった。まず目につくのはやはりガラス張りの馬券売り場。窓口の上には倍率を伝えるテレビモニターが設けられ、ファンが熱心に見入っている。その光景は空港の搭乗待合室と言われても信じてしまうほどだ。

 馬券売り場の反対側、レーストラックを向いて開けた観客シートの色は赤、黄、緑、青と多彩。トラックと観客席との間には青々とした芝生が生い茂り、子供たちがはしゃぎ、走り回っていた。座席では競馬新聞を片手に結果予想に熱中している人、レースそっちのけで恋人と愛を語り合うカップルと客層も実にさまざま。中高年男性、いわゆる「おじん」が通いつめる、ステレオタイプな競馬場のイメージにはほど遠い。

 圧巻なのは上階に設置された特別エリア。男性は短パン・サンダル履き不可、女性もそれに準じたドレスコードを満たした人しか入れない。上階へ向かうエスカレーターの下で係員に五十ペソを支払いピンク色のシールを胸に貼ってもらう。エスカレーターで二階に降り立つとピカピカに磨き抜かれた床、冷房完備の空間が出迎えてくれた。

 全面ガラス張りでじゅうたん敷き、三つに分割された特別エリアは中央がゴールデンボックスと呼ばれるVIP専用ルーム。中には机といすが並べられ、ゆったりと食事を楽しむことができる。両脇のセクションは普通の椅子席だが、レーストラックと中央にある池、かなたの山を見渡すことができ開放感にあふれている。お忍びで芸能人など著名人が訪れることもあるという。

 米国から比人の友人の元を訪れているという四十歳代の米国人男性は「びっくりした。米国でも競馬場にはよく行くが見劣りしないよ」と感嘆の声を上げていた。(佐藤直子)

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