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5月29日のまにら新聞から

マニラ湾水上レストラン

[ 1301字|2005.5.29|社会 (society)|名所探訪 ]

「幽霊船」から見事復活

 パサイ市のフィリピン文化センター(CCP)北側のマニラ湾に約四年間放置されてきた「幽霊船」が、今年四月末から豪華けんらんな水上レストラン「ジャンボ・キングダム」(珍賓王国)として復活した。きらびやかなイルミネーションに飾られた四階建ての中国式楼閣が闇夜に浮かび上がる姿は圧巻。レストラン内も大理石の床にシャンデリアが天井を飾り、アンティークの調度品や彫刻品があちこちに置かれ、高級感が漂う。

 実はこのレストラン、マカオの「カジノ王」として知られるスタンレー・ホー氏が実質的な所有者で、香港で使われていたのを「海上カジノ」とするため一九九九年末に比に搬送した。計画にはエストラダ前大統領の取り巻き政商だった中国系実業家、ダンテ・タン氏(証券取引法違反の罪で起訴、国外逃亡中)が一枚かんでおり、前大統領も承認していたとみられる。

 だが、「ギャンブルは悪」とするカトリック教会や左派系市民団体の猛反対に遭い、開業できないままに二〇〇〇年七月、台風による高波を受けて調理棟が沈没。昨年十一月に改修工事が始まるまで放置された状態が続き、「せっかくの投資がまったくの無駄。フィリピンの現状を象徴している」との声が漏れていた。

 関係者によると、ホー氏は計画が頓挫し、二千万ドルを超える損失を被ったともうわさされている。

 復活の仕掛け人は家族で飲食店事業を展開し、水上レストランを運営する「レジェンド・ドランゴン社」の社長となった中国系比人のマルセリノ・ゴー氏(50)。ホー氏とつながりを持つことでギャンブル支持派とみられることを嫌う政治家たちが何もできない中、ホー氏側と交渉してレストランを月五万ドルでリースすることに成功。アティエンサ・マニラ市長がマニラ湾沿いの再開発を進めていることにも乗じた。

 教会や市民団体の一部関係者は依然、レストランにカジノが併設される可能性があるとして警戒する姿勢を解いていないが、ゴー社長は「カジノをやるつもりはまったくない。娯楽ゲーム公社(PAGCOR)にも営業権を申請していない」と強く否定。一方で「カジノ疑惑のおかげでレストランを写真付きで新聞の一面に大きく取り上げてもらうことができて喜んでいる」と話し、商魂のたくましさを見せ付けた。

 一階から四階まで約千席あるレストランでは、香港から呼んだ中国人シェフ八人による本場の中国料理を提供している。中でも広東料理がお薦め。予算は料理にもよるが一人当たり七百ペソほどで、中国の上海、香港などにある水上レストランの半額以下で済むという。六人以上のセットメニューもある。ゴー社長は「日本人客はまだ数が少ない。来店すれば特別割引する」と約束した。

 営業時間は昼が午前十一時から午後三時まで、夜が午後五時半から同十一時まで。四階のバーは午後八時から午前一時まで営業。一階の宴会場は会議などにも使用でき、事前に連絡を受ければ営業時間外でも使用可能という。開店から一カ月がたったが、連日、ほぼ満席と業績は好調で、同レストランは来店に際しては予約を入れるよう求めている。予約は02・832・8888まで。(湯浅理)

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